権利侵害に関する動画投稿ガイドライン

1.はじめに

現在、「ニコニコ動画」をはじめとする動画投稿サイトに動画をアップロードすることにより、個人の利用者がインターネット上にアップロードした動画を、多くの人に視聴してもらうことのできる環境が整っています。
このような動画投稿サイトに動画をアップロードする際には、守らなくてはいけない様々なルールが存在します。全ての利用者が守るべきルールを守り、適切な動画投稿サイトの利用を行っている場合には問題が発生することはありません。
ただし、利用者がアップロードしてはいけない動画をアップロードしてしまった場合や、他人の権利を侵害する内容を含んだ動画をアップロードしていた場合、動画をアップロードした利用者の行為は、他人の権利を侵害する行為になってしまいます。
このような権利侵害行為が発生すると、権利を侵害された被害者(権利者)には様々な損害が発生することになり、動画のアップロードをした人は加害者として法的責任を負うことになります。
このため、動画投稿サイトを利用する際には、利用者一人一人がルールをきちんと守ることを意識し、自分が動画をアップロードすることによって他人の権利を侵害することがないのか、正しい知識に基づいて確認していくことが求められます。
動画のアップロードに関係する様々な権利についての知識を正しく身につけ、動画投稿サイトを正しく利用するようにしましょう。

※本ガイドラインは著作権等について専門的な知識をお持ちでない方を対象として「ニコニコ動画」を正しく利用していただくために作成したものです。最低限知っておいていただきたい事柄を簡略かつ平易に解説することを目的としておりますので、法令等の記載と異なる表現をしている部分や一部省略して記載している部分があります。あらかじめご了承いただきますようお願い申し上げます。

2.著作権を侵害してはいけません

著作権とは、人の思想・感情を創作的に表現したもの(これを「著作物」といいます)を保護する権利であり、著作権を有する著作権者は自分の著作物の利用についてコントロールする権限を有しています。著作権は著作権法という法律によって保護されています。著作物には、映像、音楽、絵画、写真、小説など人間が行う様々な表現活動の成果が含まれます。
動画投稿サイトに動画をアップロードする場合にも、著作権が関係してきます。著作物である映像をインターネット上にアップロードする場合には、インターネット上へのアップロードについてコントロールする権限を持っている著作権者による許可が必要になります。したがって、他人が著作権を有する映像を許可無く動画投稿サイトに投稿してしまうと、著作権を侵害する行為となってしまいます。著作権を侵害すると、権利を侵害された著作権者に生じた損害を賠償する責任を負います。また、著作権侵害については、法律で刑事罰も規定されています。
動画投稿サイトに動画を投稿する場合、他人の著作物を許可無く使用していないか、十分に確認するようにしましょう。テレビ番組や市販のDVD、CDに含まれている映像・音楽を使用することはもちろん、インターネット上で公開されている映像・音楽・写真などを使用する際にも多くの場合著作権者の許可を得ることが必要です。プロが作った作品であるとかアマチュアが撮ったビデオ映像であるとかは関係ありません。カラオケでアーティストの楽曲を唄って録音し、映像と組み合わせて動画投稿サイトにアップロードする場合も、原則として著作権者の許可が必要となります。したがって、あなたが創作したオリジナルのもの以外を使用する場合には、インターネットにアップロードすることが明示的に許可されている場合を除き、著作権侵害になる可能性が高いと考えてください。
動画投稿サイトに動画をアップロードする場合、様々な権利について意識して権利侵害をしないことが求められますが、その中でも著作権を侵害していないかチェックすることは非常に重要です。著作権を侵害しないように注意して、正しく動画投稿サイトを利用するようにしましょう。

動画投稿サイトに動画をアップロードする際のチェック項目

  • アップロードする動画はあなたが創作したオリジナルのものですか?
  • アップロードする動画に他人の著作物が含まれている場合、動画をアップロードすることについて著作権者の許可を得ていますか?

3.肖像権を侵害してはいけません

肖像権とは、自分の顔や姿を無断で写真・絵画・動画などに写しとられたり,それを展示されたりすることを拒否する権利のことをいいます。
人の顔や姿をその人の承諾なく勝手に撮影することや、撮影した動画などをインターネット上にアップロードすることは、肖像権を侵害する行為となります。映っている顔や姿がその一部であったり、背景として映り込んでいる場合であっても、その動画を見た人が映っている人物を特定できるような状況である場合には、肖像権を侵害する動画と判断されます。
自分の知らないところで、顔や姿が撮影された動画などが動画投稿サイトにアップロードされてしまうと、映っている人やその周囲の人が様々な被害を受けることになってしまう可能性があります。動画投稿サイトに投稿するための動画を撮影する場合や動画を動画投稿サイトにアップロードする場合には、その動画が他人の肖像権を侵害しないように、十分に気をつけましょう。

動画投稿サイトに動画をアップロードする際のチェック項目

  • 動画に映っている人から、動画を撮影することの承諾を得ていますか?
  • 動画に映っている人から、撮影した動画を動画投稿サイトにアップロードすることについて承諾を得ていますか?

4.他人のプライバシー・名誉を侵害してはいけません

肖像権と同じく、個人のプライバシーに関わる情報(他人に知られたくない個人の私生活に関する情報や住所、名前などの個人情報)についても、他人が許可なく公表したりすることはできません。また、個人の人格や名誉を傷つけてはいけません。
プライバシーに関する情報をその人の承諾なく勝手に公表する行為は、他人のプライバシーを侵害する行為となります。動画投稿サイトの場合、その動画を見れば他人のプライバシーが間接的にでも分かってしまうような動画をインターネット上にアップロードすることが、これに当たります。
また、その動画をアップロードすることが、映っている人の人格や名誉を傷つけるような場合にも、権利を侵害する行為となります。
自分の知らないところで、プライバシーに関わる情報が他人に勝手に公表されたり、名誉を傷つけたりするような動画が動画投稿サイトにアップロードされてしまうと、その人やその周囲が様々な被害を受けることになってしまいます。動画投稿サイトに投稿するための動画を撮影する場合や、動画を動画投稿サイトにアップロードする場合には、その動画が他人のプライバシーや名誉を侵害しないように、十分に気をつけましょう。

動画投稿サイトに動画をアップロードする際のチェック項目

  • 動画の中に、他人のプライバシーに関する情報が含まれていますか?
  • 動画を見た人が、結果として他人のプライバシーに関する情報を知ることができる内容になっていませんか?
  • その人の承諾なく、他人のプライバシーに関する情報を公表してしまうような内容になっていませんか?
  • 他人の名誉を傷つけてしまうような内容になっていませんか?

5.パブリシティ権を侵害してはいけません

パブリシティ権とは、役者・タレント・歌手・アーティストやスポーツ選手などの著名性のある人物・グループが、その氏名・肖像の利用についてコントロールすることができる権利のことをいいます。
パブリシティ権は、著知名人士本人や所属事務所などによって管理されており、他人が許可無く著知名人士の氏名や肖像を使用することはできません。例えば、あるタレントの写真を使ったグッズを製造・販売するビジネスを行う場合には、たとえ自分が撮った写真であっても、そのタレント(またはそのタレントの所属事務所)から写真を使うことについて許可をもらうことが必要になります。勝手にタレントの写真を使ってしまった場合には、パブリシティ権の侵害になります。
パブリシティ権のほか、著知名人士の個人としての肖像権を侵害することも許されません。また、著知名人士のプライバシーを侵害したり、著知名人士に関する根拠のないデマを流したり、名誉を傷つける行為も許されません。動画投稿サイトの利用の際には、これらの権利を侵害する行為を行わないように十分に気をつけましょう。

動画投稿サイトに動画をアップロードする際のチェック項目

  • 動画に著名人や著名なグループが映っていたり、その名前が載せられていますか?
  • 動画に映っている著名人・著名なグループから、またはそのマネジメントを管理している所属事務所から、動画を撮影することの承諾を得ていますか?
  • 動画に映っていたり、動画に名前が載せられている著名人・著名なグループから、またはそのマネジメント事務所から、動画をインターネット上にアップロードすることについて承諾を得ていますか?

6.権利侵害となる具体例

以上、動画投稿サイトに動画をアップロードする際、守るべき権利についての代表例について説明しましたが、権利者の許可なく行うと権利侵害になる可能性がある行為の具体例を以下に記載しておきますので参考にしてください。
なお、動画の一部のみに使用している場合でも権利侵害になりますのでご注意ください。また、1つの動画に対して複数の権利が関係する場合もあります。この場合、全ての権利について権利者の許可を得ておく必要がありますのでご注意ください。
動画投稿サイトを利用する場合には、これらの権利侵害行為を行わないように注意して、ルールとマナーを守った正しい利用をするようにしましょう。

  • ・市販の映像ソフト(DVDソフト等)の映像を動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・テレビ番組を録画して動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・テレビゲームのプレイ映像を動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・ブログや他の動画投稿サイトにアップロードされていた映像を、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・映画館で上映された映画をビデオカメラで録画し、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・カラオケで歌を唄ってこれを録音し、自作したオリジナル映像と組み合わせて、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・他校の文化祭で行われていたライブ演奏や出し物の模様をビデオで撮影し、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・市販の音楽ソフト(CD等)を、自作したオリジナル映像と組み合わせて、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・人の顔や姿を撮影した映像(写真やビデオに撮影することについては許諾を得ている)を、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・他人の個人情報を含んだ映像を、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・他人の私生活を暴露するなどのプライバシー侵害につながるような内容を含んだ映像を、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・特定の個人の人格・名誉・声望等を傷つける内容を含んだ動画を、動画投稿サイトにアップロードした。
  • ・アーティストのコンサートの模様をビデオで撮影し、動画投稿サイトにアップロードした。

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