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ましましの拙筆

MMD静画の製作過程および解説

2014-11-29 21:00:00

 この度 KAD50さんが開催なさった「自分の嫁紹介ポスター」へ参加ならびに生放送 MMD静画鑑賞会を拝見し勉強させていただきました。微力ながら返礼として拙作の製作過程を記しますので 皆様の静画制作の一助になれば幸いです。



こちらが「自分の嫁紹介ポスター」です。

元気いっぱい可愛いおんちゃん。その本を読んではいけません、まだ早すぎます。

そして こちらが拙作です。この解説をいたします。


メインのシェーダはnilさんの NCHLShader2 です。まず、こちらを適用します。
 
左:モデルにNCHLシェーダを適用します。次に、NCHLに同梱してある4つのxファイルを読み込んでパラメータと照明をsample.pngに従い設定します。数値を入れる度に絵が変化するのでだいたいの機能が分かるかと思います。
右:NCHLシェーダのプリセット。ピンクは今回使用したもの。載っていない材質はデフォルトのNCHLShader2.fxを使用しました。"Skin - コピー.fx"は Skin.fx だとテカリが強いのでROUGHNESSを0.3にしたものです。
それからポーズを作り、だいたい決まったらカメラと照明をいじります。
←最初の案。大量のマネキンを押しのけながら衣装を選ぶミクさんという構想でした。この画像だけ本物のメイキング画像です。

←こちらが決定したもの。
左:MMEなし
右:NCHLのみ適用
下:このときの設定
※手錠とケースは非表示にしています。




構図:
可愛いだけではない、カッコいいお姉さん な まれよん式ミクさんを表現しました。また、カッコよさを伸張するために硬派なケースと手錠を選びました。上方に余白があった方が良かったか。
背景:企画のサブテーマでもある背景ですが毎回悩みます。。。今回はおしゃれで味のある背景が欲しかったので いくつかステージを試したあと azyazyaさんの煉瓦ステージに決めました。
カメラ:ミクさんと対話するシチュエーションの場合、男性とミクさんの身長差に合わせたアングルにすることが多いです。妄想もとい感情移入しやすいので。
照明:顔の陰影に注意を払って設定します。あまり調整が効かないので 照明に合わせてカメラやポーズを再調整することが多いです。

次にエフェクトを盛っていきます。
今回使用したエフェクトのリストです。これは最終的な描画順で、作業中は後述の順で盛りました。

ピンクはデフォルトから変更した数値。載っていない3つはNCHLシェーダのsample.pngのままです。
数値を決めるときは、基本的にSiやTrは0.3ずつ変えて あたり をつけ、次に0.1ずつ変えて決めます。その他はアクセサリ操作モードでぐりぐり動かして決めます。アクセサリの表示/非表示を繰り返したり 画像を出力したりして比較し最適な数値を選びます。
fxファイルの編集は、各フラグの0/1を変更している程度です。
まず ikenoさんの ikSunshaft を追加します。
 
左:ikSunshaftで空気感を出します。しかし、今回は遮蔽物がなくて深度もほぼ モデルか壁か の2択なのでアクセサリ影にチェックを入れていません。
右:Z=1.0にした画像。つまり、画像全体に一様にかかっているので色調補正みたいになっています。それでも青っぽい空気感というかリアル感が増しているかと思います。
…実は 最初の案 において大量のマネキンで光芒が綺麗に出るかなと思い追加していました。棚ぼた。
次に そぼろさんの SvSSAO を追加します。
  
左:SvSSAOとHgSAOで擬似的な陰影をつけて立体感を出します。SSAOとSAOは陰影の付き方が違うので併用します。この違いは針金さんのブロマガ(ar568279)が分かりやすいです。
中:SvSSAOのかかり具合。元絵が見えるところほどSSAOがかかっています。左脇腹や右腕にぼやっとした陰影がつくことで丸みが出ています。右前髪の内側も暗くなるので顔の立体感が出ます。
右:Si=0.2&1.0の比較。Si=1.0だとエグくて、特に顔色が悪くなりやすいです。
次に おたもんさんの o_Diffusion を追加します。
 
左:前髪や胸部、露出した肌の光が拡散し輝きます。肌が美しくきらめいたり その部分が前に出て立体感が出たりする効果があります。
中:OFF(Tr=0.0)&ON(Tr=0.2)の比較。比較しないと分からないくらい薄めでちょうど良いです。
右:Tr=0.2&1.0の比較。太陽下や雪上など光があふれている絵なら良いのですが 今回の落ち着いた絵だと不自然な輝きになります。

【追記】この項以降の画像において、NCHL を NHCL と誤記しております。失礼いたしました。
次に 針金さんの PowerDOF を追加します。
 
左:背景をぼかして遠近感を出すと、ミクさんが背景から浮き上がり空間が生まれます。
右:Si=1.0にした場合。さらに遠近感が出て印象的な絵になります。しかし今回は作品の雰囲気づくりに煉瓦が重要でしたので弱めの 0.1 に設定しました。
次に おたもんさんの o_セピア を追加します。一番のミソ。
 
左:バラバラだった色がセピア調に向かうので絵がまとまります。ミクさんは鮮やかな青髪と服の青い部分に目を引きやすいので、それを落ち着かせる効果もあります。
右:OFF&ON(Tr=0.2)の比較。優しさ、落ち着き、気品みたいなものが出ているかなと思います。
最後に そぼろさんの CheapLens を追加します。
 
左:画像の端が暗くなることで中央のミクさんが引き立ちます。
右:OFF&ONの比較。デフォルトの数値はかなり効果が強いので弱めます。頭のてっぺんと左ふとももが良い感じに暗くなって丸みが出ています。偶然の産物。
MMDでの調整は以上です。画像を後述のサイズで出力し、GIMPで加工します。
MMDからは、企画の規定サイズである768x1024の縦横2倍 1536x2048 で出力します。そしてGIMPで[補間方法:Sinc(Lanczos3)]を指定し画像を規定サイズに縮小します。
 

左:
 縮小なしは768x1024で出力した画像で、縮小ありは1536x2048で出力して縮小した画像です。
 メリット:
 ・エッジの粗さが軽減されるとともに、エッジが強調されてシャープになっています。
 ・ノーマルマップによる凸凹がはっきりと強調されています。
 デメリット:
 ・エフェクトの効果がかなり変化します。特にMechanic_Mirrorシェーダを適用した手錠とケース。
  この変化はMMDの編集画面で確認できたりできなかったりします。この辺はよく分かりません。
 ・縮小するのでノーマルマップの凸凹によるモアレを引き起こしやすいです。ネクタイ中央など。
 縮小なしより悪化している部分もありますので試行錯誤中です。
右:
 1536x2048で出力した画像の一部。シャツのノーマルマップが綺麗に出ていますなぁ(棒読み)。

ちなみに、Sincはキュービックと比較するとエッジやノーマルマップの凸凹がシャープになります
また、この作業はElleさんのSSAAというエフェクトでできますが、前作でAutoLuminousが併用できなかったので手作業でやっています。SSAAは 縮小あり よりはソフトな効果になります。
次に細部をブラシ等で修正します。
 
左:目の陰影はモデルの構造上おかしくなるので描き直します。目は人の印象を決めるぐらい重要なのでこの見栄えが全体に影響します。あと眼力アップで印象的になります。選択範囲を間違えてカットしてしまいましたが、下くちびるに反射光を描いて魅力的にしています。(次の 名入れ画像 を参照。)
右:破綻した部分や歪な形状を修正します。今回は左肘が歪になっていたので修正しました。また、別のノーマルマップを使用した画像を合成し、服の縫い目の陰影を追加しました。
最後に文字を入れます。

"自分の嫁紹介"なので名入れし ミクさんに重なった部分を消しました。フォントはミリメートルさんのアームド・レモンです。”ましまし×まれよん式ミク”ではなく”まれよん式ミク×ましまし”。これ重要。
これで完成です。製作時間は3時間ほどでした。
おまけ。ノーマルマップ(以下NM)の比較。
 
左:NMありおよび縮小あり。全部で13枚のNMを使用しました。
右:NMなしおよび縮小なし。NMありの調整なのも相まってツルテカです。

おまけ2。別のアイデア。
 
左:PowerDOFの強いぼかしを活かすならこんな構図。Si=2.0です。上から下にかけてモデルと背景が同じようにぼけるので、モデルが背景から浮きすぎることなくリアル感を出せます。煉瓦が精巧なフルポリなればこそ見下ろすシーンも映えます。 「でも少し…この風…泣いています」
右:NCHLシェーダのTest.fxを適用。テクスチャを無効化して照明やNMの具合を確かめるものですが、そのまま作品に使っても面白い質感かと。『妖しい家政婦アンドロイドが ケースひとつで転がり込んできた。近未来なのにどこかノスタルジー、ロマンティック・コメディ「家政婦のミク」』とか。



解説は以上です。モデルやエフェクトの素晴らしさに頼りきりですので、制作者の方々に改めて深謝いたします。
最後までお読みいただき ありがとうございました。
私信
KAD50さん ならびに のりタマさん vagさんのMMD静画鑑賞会はTSで拝見いたしました。生放送では構図の考え方やエフェクトおよびGIMPの使い方、物理の焼き込みなど大変勉強させていただきました。また、拙作の紹介においてはお褒めに与り恐縮でございます。私はTwitter等SNSをやっておりませんのでブロマガで解説いたしました。
また次回開催がございましたら参加いたしたく存じます。ありがとうございました。


投稿者:

ましまし

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